<イラク開戦5年>最新ルポ 要塞化するバグダッド…敵意の海に孤立
3月16日12時3分配信 毎日新聞
【バグダッド小倉孝保】イラクの首都バグダッドは、コンクリート壁が建ち並ぶ要塞(ようさい)都市に変わり果てていた。20日でイラク開戦から5年。政府施設が集中し、最も治安が安定するグリーンゾーンの上空には、テロリストやスナイパー(狙撃手)を警戒する米軍ヘリが飛び交う。米国は07年1月、バグダッドを中心に3万人の部隊増派を決定、「増派は成功した」(ブッシュ米大統領)と強調する。だが、その実態は、まさに敵国の中に浮かぶ基地だ。力で抑え込んだ安定にすぎない。
記者がバグダッドに入ったのは3年半ぶり。この間、北部クルド地域や南部サマワを取材したことはあったが、治安の悪化で首都に足を踏み入れることはできなかった。
米軍施設や政府機関が集中するグリーンゾーン。その周辺でも、日に数回、迫撃砲と思われる爆発音や、ライフルの連射音が響く。だが、人々は驚く様子もない。これが「治安が安定」したグリーンゾーンの日常風景なのだと思い知らされた。
レッドゾーンと呼ばれる市街地の様子を知りたい。11、13の2日間、思い切って市街地に出た。チグリス川を渡り、対岸のカラダ地区のほか、フセイン元大統領像のあったフィルドス広場、大壁画で有名なタハリール広場周辺などを歩いた。
グリーンゾーンとの出入り口に車を横付けし、ドアが開くのを待ち飛び乗る。外国人が乗っているのが分からないよう、後部座席に体を横たえて移動した。同乗した警備員は、前後左右の車両だけでなく、スナイパーを警戒し付近のビルに鋭い視線を送る。助手の口数は少なくなり、車を止め、写真を撮ると「ダメだ。車に戻れ」と命令口調になった。
最初に目に付いたのは、各省庁、米軍関連施設、各国大使館や政党の建物の防護用に設置されたコンクリート壁(高さ約2~3メートル)だった。壁を撮影していると、突然、猛スピードで米軍車両が通過した。その瞬間、助手が叫んだ。「危ない。逃げろ」。カメラを銃と勘違いした米兵が、銃を乱射するのを恐れたからだ。
米軍やイラク軍のジープ型の車、トラックがひっきりなしに、警笛を鳴らしながら猛スピードで市街地を走り抜ける。スナイパーやロケット弾攻撃の標的になるのを避けるためスピードは緩めない。
タクシー運転手のアラア・ムハマンドさん(32)は「どれだけカネを積まれようと、今、米国企業で働けばテロリストに狙われ、すぐに殺される。(治安が改善したと強調する)米国は大うそつきだ。我々は、毎日、きょう一日、無事で過ごせるかどうかと、不安の中で生きているんだ」と訴えた。
道路の傷みや歩道周辺の汚れも目立つ。バグダッド陥落直後に放火された政府ビルの多くもそのままの姿で、進まぬ復興状況を目の当たりにした。
■ことば・グリーンゾーン
イラク戦争でのバグダッド陥落後、首都中心部のチグリス川西岸に設置された米軍管理区域の通称。「インターナショナルゾーン」とも呼ばれる。面積約10平方キロ。周囲はコンクリート壁や鉄条網で囲まれ、多国籍軍が厳重警備する。かつてフセイン元大統領らの宮殿があった。現在はイラク政府庁舎、米大使館、ホテルなどが集中する。
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by iraq2003jp
| 2008-03-17 16:01
■■■転送・転載大歓迎■■■
イラク反戦5周年 労働者の団結が戦争を止める!
ブッシュも福田もぶっ倒せ! 3・16全世界一斉デモ!
青年の怒りをひとつにしよう 労働運動の力で革命やろう
■3月16日(日)午後1時半から集会/3時半からデモ
■東京・代々木公園B地区野外ステージ
(JR・原宿 千代田線・代々木公園 小田急線・代々木八幡)
■主催/ワーカーズアクション実行委員会
■Eメール/workers_revolution@yahoo.co.jp
■郵便振替/00180-1-412123『ワーカーズアクション実行委員会』
■連絡先/全国労働組合交流センター TEL03-3845-7461/台東区元浅草2-4-10五宝堂・伊藤ビル5F
国鉄千葉動力車労働組合 TEL043-222-7207/千葉市中央区要町2-8DC会館内■ホームページ/
http://workersaction.web.fc2.com/
〈呼びかけ人募集〉
この運動は誰でも呼びかけ人になれます。呼びかけ文に賛成という方はどんどん呼びかけ人になってください
①「3・16全世界一斉デモに立とう!」と呼びかけを世界中に発しよう。書いていただいたメッセージはホームページにガンガン載せていきます。
②ただちに職場や学校、地域、街頭で呼びかけ人を増やそう。仲間を呼びかけ人に誘ってください。
③ 呼びかけ人はデモに仲間をガンガン誘おう。みんなの力で大デモを実現しよう!
(1)メールで!
①氏名と肩書き、または労組・団体名、
②公表の可・不可、
③連絡先の住所と電話番号、メールアドレス、
④3・16デモに行こうというアピール
――を書いて、事務局までメールで送って下さい。さらに協力金一口500円を振り込んでください。これで会場費をまかないたいと思います。
◎実行委員会のE-mail/workers_revolution@yahoo.co.jp
◎郵便振替口座/00180-1-412123『ワーカーズアクション実行委員会』
(2)郵送やFAXで!
呼びかけ文と用紙をホームページからダウンロードして送って下さい。
全国労働組合交流センター TEL/03-3841-7461 FAX/03-3845-7463
東京都台東区元浅草2-4-10 五宝堂・伊藤ビル5F
03年3月20日のイラク開戦から5年、全世界の労働者の怒りと団結で戦争を止める行動に起とう! 「イラク反戦5周年 労働者の団結が戦争を止める! ブッシュも福田もぶっ倒せ! 3・16全世界一斉デモ!」を呼びかけます。ぜひ、この行動の呼びかけ人になってください!
イラク侵略戦争の5年間で、一体どれだけのイラク労働者の生命と生活が奪われてきたのか! さらにブッシュはイランへの戦争拡大まで狙っています。福田は「民主主義」すらかなぐり捨てて、給油新法を成立させました。労働者は石油価格の高騰で生活を逼迫させられる一方で、資本家連中は自分たちの利益のために税金をつぎ込んで、虐殺のための給油を続けるというのです。労働者から強搾取し、石油利権のためには虐殺を強行し続けるなど、冗談ではありません。侵略と戦争に対するイラク労働者の怒りは、私たちの職場での資本・当局に対する怒りと一体です。敵は一つです。戦争は絶対に止められます。資本家連中の凶暴さは、いつ労働者階級によって自分たちが打倒されるか分からないという追いつめられた姿であり、革命への恐怖の表れです。既成政党への投票やお願いではなく、ブッシュや福田、御手洗を打倒して戦争を終わらせる。今がそのチャンスです。
何より、労働者が団結することです。あらゆる差別・分断・競争が資本家による支配のための団結破壊として労働者を襲ってきます。賃金、職種、正規・非正規、性別、年齢、人種、民族、国境、すべてそうです。しかし、労働者は一つです。団結したら絶対に勝てます。労働者は、資本の支配の下で、一つの商品として扱われ、賃金奴隷とされています。だからこそ労働者が団結したとき、資本主義社会のすべてを転覆させることができるのです。
「今何よりも求められているのは、情勢に負けることなく怒りを組織し、展望を語り、原則を曲げずに団結を組織することです。労働者が自らの持つ力と可能性を自覚し、誇りと団結を取り戻すことです。自らがこれまでのあり方を日々うち砕き、『団結した労働者の闘いこそが社会を変革し、歴史をつくる力だ』という、ただその一点に依拠して闘いぬくことです」(07年11・4アピール)ここに確信を持って闘おう!
これまで資本主義経済を万能のごとく描き出してきた資本家どもが今、絶望の悲鳴をあげています。サブプライムローン問題の爆発が、金融恐慌を引き寄せています。年明けからの日米欧の株価大暴落、原油や穀物相場の急騰、ドルの失墜。資本家連中が引き延ばし続けたバブルが、ついに崩壊し、見せかけだけの世界経済の統一が崩れ落ちるときがきた! 彼らはもはや労働者を食べさせることも住まわせることも保障できなくなっています。それでもまだ支配を続けようというのです。もう我慢ならない! ストライキでもやって思い知らせてやろうではありませんか。社会の主人公が誰なのか。世界中で労働者が「資本家の時代は終わった。労働者に権力よこせ」と起ち上がっています。日本でも、9月29日に沖縄の労働者たちが11万6000人決起でゼネスト状態をつくり出して闘いました。この力こそ、国を止め、戦争を止めるのです。
日本の労働運動を力強くよみがえらせよう。福田や御手洗は、アメリカや中国のバブル崩壊の危機と円高で、世界で最も絶望の淵に叩き込まれています。だから、「国際競争力強化と生産性の向上だ」と、あくどい搾取と、戦争で延命しようというのです。福田も小泉や安倍同様、「新自由主義」政策として<改憲・戦争-民営化・労組破壊>に命運をかけています。しかし、こんな道はすでに破産しています。動労千葉は、国鉄の分割・民営化20年の闘いに勝利宣言をしました。他方、JRは安全、要員、労働者支配のすべてで破綻しています。郵政民営化にも、すでに現場から超過勤務拒否の反乱が開始されています。労働者の団結を破壊し、改憲に突き進む狙いを核心のところで打ち破っています。
青年の出番です! 怒りをひとつにし、職場・生産点で団結しよう。「今は闘うときではない」と抑圧する連合・全労連などの体制内指導部は、資本・当局による団結破壊の一端を担いでいるのです。しかし、ここに支配階級の破綻点がある。「労使は運命共同体」と体制内指導部を取り込むのは、私たちの反乱に恐怖しているからです。自分と隣の仲間の力を信じ、革命に向かう団結で体制内指導部をぶっ飛ばせば、敵の支配は崩壊するのです。国鉄・教労・自治体・全逓での体制内指導部との決別が、戦争か革命かのカギを握っています。08年、国鉄千葉動力車労働組合、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同の呼びかけにこたえ、1万人労働者集会を実現するために、3・16に首都5000人の大行動をかちとろう。団結の拡大のために自分の訴えをビラにして職場で撒こう。隣の仲間と革命をめぐって格闘し、本物の団結をつくろう。労働運動の力で革命やろう!
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by iraq2003jp
| 2008-03-16 22:48
ストライキに立ち上がるイラク石油産業の労働者
アメリカ帝国主義および、カイライ政権は、「石油法」を制定し、石油省の元で公共事業として進めてきた石油産業を民営化し、75%をアメリカに売り渡そうとしている。これに真っ向から立ちふさがっているのは石油産業の労働組合の闘いだ。
「もしこの法案が成立すれば、イラク政府がその命運をアメリカの石油会社の手に握られる」、「イラクを分断する一つの手段となり、イラク国内における内戦状況を拡大・深化する」(サミール・アディルIFC議長)
「石油法はまさしく泥棒の法律といえます。イラク労働者たちから略奪をするものです。」(アブード南部イラク石油労組(全イラク石油労組)書記長)
「南部石油労組連合は当初からこの法案に反対して数多くのデモに取り組んできました。また、背後にある石油投資についても反対しています。」「バスラの労働組合はすべてこの法案に反対しています。」「この石油資源は1958年の7月14日革命以後脈々と続くイラク国民のための資源なのです。」
イラク人労働者が石油を守るためストを実行(デービッド・ベーコン氏 2007年6月11日)
「今週、飢餓ラインの収入と石油詐欺に対するイラク人の怒りが爆発した。6月4日月曜日、イラク労組の中でも最大で最も活発なイラク石油労働組合連合が、イラクの石油を公共の手から譲り渡さないよう呼びかけ、また約束した経済制作を実現するよう政府に求める期限付きストを始めたのである。イラク南部の石油採掘装置からバグダード最大の精製所に石油を運ぶパイプラインの労働者が仕事をやめた。」
「労働者たちは、雇い主であるイラク石油省に対し、賃上げと約束通りの休暇、そして数千人に達する一時雇用職員の正規雇用を求めている。住宅が大規模に破壊され、少なからぬ労働者が荒廃したむき出しの状況で暮らしている国で、労働組合は政府に、家を建てるための土地を提供するよう求めている。」
「石油労働者組合はその年(2003年)の8月に3日間のストを行い、輸出を止めて政府収入を遮断した。ハリバートン社はイラクから撤退した 」
「サダム政権が崩壊してから、イラクの労働組合活動家は、労働組合運動を再建する決意で監獄を出て、地下から姿を現し、亡命生活を終えて帰国した。まるで奇跡のように、戦争と爆撃のさなかで、これらの人々は組合を再建したのである。南部の石油労働者組合は今やイラク最大の組織の一つであり、採掘施設とパイプライン、精製所に数千人の組合員を擁している」
「鉄道やホテル、港湾、学校、工場の労働組合とともに、これらの組合はストを行い、選挙を実施し、賃上げを勝ち取り、民主主義を日常に生かしている。それにもかかわらずブッシュ政権と傀儡のバグダード政府は団体交渉を法律で禁じ、組合の資金を押収し、イラク労働組合指導者に対する暗殺の波から目を背けている」
「米軍のジェット戦闘機さえもが出動し、スト参加者がデモを行っている現場上空を旋回する。イラクでは、敵意を持った軍用機が上空を旋回している事態は、地上の人々に対するただの脅迫を意味しているわけではない。こうした行為はイラクでは遙か以前から、組合活動を弾圧するためにイラク政府や占領米軍により続けられてきたのである 」
イラクの情勢はスンニ派とシーア派の非和解的対立が焦点ではない。宗派の違いも乗り越えて団結した労働者たちが、ストライキで戦争と民営化に反対し、アメリカ帝国主義の侵略戦争の前に立ちふさがっている。ストライキをやる労働組合への弾圧、空爆、組合指導者の暗殺、組合ビルへの英軍の攻撃などが報じられている。石油労働者の誇り高い闘う姿を見よ。石油産業というイラク経済にとって決定的位置にる労働者のストライキの持つ威力を見よ。ここにこそ日本労働者階級が連帯すべき仲間が存在している。
●イラク石油労組へのインタビュー(コミューン2005年9月号:インターネットで閲覧可)より
※聞き手:デビット・ベーコン氏、南部石油企業労働組合ハッサン・ジャマー・アワド委員長へのインタビュー
「石油労働者の組合は、04年2月に至るまで3カ月にわたって強固な闘争態勢を築きあげ、『労働者の要求が認められなければ、石油労働者は武器をとって武装抵抗闘争に参加する。産油作業などのためにスト中の労働者にかわって軍隊が動員されれば、武装闘争でこれを阻止する』という最後通牒を突きつけた。占領当局・石油相は交渉に応ぜざるを得なくなり、事実上石油労働者の組合を承認せざるをえなくなったのだ。まさに、イラクの石油労働者の闘いは、実力で労働組合つぶしを粉砕し、労働条件を勝ち取りつつ、侵略・占領と闘っているのである」
「――彼ら(アメリカ)は、なぜ、石油労働者の労働組合を望まないのですか。 組織労働者は力を持つということを知っているからです。その力に彼らは直面しなければならなくなります。彼らの占領当初の計画を変更しなければならなくなります。
――労働組合にとっての問題はどういうものがありますか。
労働者の賃金が低すぎることです。占領軍は、指令第30号を発して、公共部門の賃金を設定しました。この指令は、労働者の月間賃金を6万9000イクク・ディナールにしました。約35㌦です。インフレ率が高く、生活費が非常に高いことを考えると、この給与は極端に低いものです。
イラクの石油埋蔵量は、世界第2位です。だから、石油産業の労働者が月給35㌦だなどということは、われわれには受け入れられません。アメリカによる政権は、このことについてわれわれと協力する意志はないことと判断し、8月13日にストライキに突入しました。短いストライキをした結果、15万イラク・ディナール、つまり約100㌦に賃上げすることができました。これが、石油労働者の所得向上のための闘いの始まりでした。また、アメリカのKBR社〔ケロッグ・ブラウン・アンド・ルート社=ハリバートン社の子会社〕の社員たちを石油施設から完全に撤退させることにも成功しました」
「――どのようにして、政権に労働組合との交渉をするようにさせていったのですか。
アメリカによる政権の考えを変えさせたのは、ストライキの圧力です。」
「――占領が即時終了したら、治安について不安ではありませんか。
われわれはまったく心配していません。われわれは、自分のことを自分でやることができます。自分の安全は、自分で守れます」
「――占領に対する武装抵抗についてどう思いますか。
イラクにおけるあらゆるタイプの名誉ある闘いを支持します。そして占領が即時終了することを望んでいます。しかし、われわれはイラクのテロリスト組織が行なっているイラク民間人へのテロルには反対です。それについては、支持しません」
「――バスラの他の労働組合に対して、石油労組は、どのような関係を持っていますか。
バスラの他の労働組合とは非常に良好な関係です。われわれの闘争は、ひとつの闘争です。占領に対しては団結しなければならなりません」
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by iraq2003jp
| 2008-03-02 00:52
クルドは国をもたない世界最大の少数民族であり、その数は2千万人以上と推定されている。イラン、イラク、トルコ、シリア、アルメニア、アゼルバイジャンの国境地帯で生活している。チェチェン100万人、パレスチナ300万人(自治区内)(全世界で900万人)と比べてみても、けたが違う大きさである。その民族的抵抗力は帝国主義諸国にとって恐怖の対象であり、それゆえに、恣意的に引かれた国境線によって分断されてきた。
第1次大戦によるオスマン・トルコ帝国解体により、セーブル条約でクルドはいったん「クルディスタン(クルド人の土地)」として独立が約束された。しかし、1923年ローザンヌ条約が結ばれ、クルド条項は取り消された。イギリスがクルドの居住地キルクークに石油が出ることを知り、自ら委任統治するイラクに編入したからである。
こうしてクルド人は、帝国主義諸国の利害で決められた国境にまたがる矛盾した存在として、分離独立を許すまいとする五カ国から弾圧、差別・抑圧される歴史が続いてきた。米ソ対立でも、イラン・イラク戦争でも影響力ある存在として、武器を渡されたり、弾圧されたり、さらにはクルド人自身も分裂させられてきた。
トルコ国民の三分の一を構成するクルド人1千万人を、歴代トルコ政府は一貫してその存在を認めず、方言を話す「山岳トルコ人」だと言い、自治権をも認めようとはしていない。トルコの中のクルド人は流血の闘いを連綿と続けており、PKKはシリアやイラク北部に拠点をもち、トルコ南部でゲリラ闘争を続けている。
1984年以来の交戦によるPKKの戦死者はなんと2万1千人に上るという。
最大の責任はアメリカにある。
中東の歴史を見ると、帝国主義者の2枚舌、3枚舌は当たり前だ。相互に矛盾する空手形を何枚も出し、そのたびに多くの血が流されてきた。今もアメリカは、泥沼のイラクから脱け出すために、トルコ政府、クルド民族、シーア派、スンニ派にでたらめな「約束」を乱発している。その結果が今回の攻撃だ。ブッシュ大統領の舌を何枚抜いても、いくらでも生えてくる。全世界の労働者人民の怒りで倒すしかない。
その怒りで4月18日、19日、イラク写真展を行う。是非ご参加ください。
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by iraq2003jp
| 2008-02-28 03:01
イラクでまたも新しい戦争が始まった。
2月21日夜、トルコ軍は戦闘機やヘリコプターの援護の下、戦車隊を先頭に3千人の地上部隊をイラク領内に侵攻させた。「極寒の急襲」という作戦名で、最低でも15日間の予定と発表した。
これまでもトルコ軍はイラクとの国境に10万人を配置し、「PKKの拠点を壊滅する」とイラク北部の国境地帯を度々越境爆撃してきた。PKKとは、トルコからクルドの分離独立を掲げるクルド労働者党の名称で、国境地帯で活動している。今回、アメリカの事実上の支援のもと、公然と国境を越えたのだ。
ところが、初日から作戦は失敗した。ハツカリで待ち伏せていたPKKと交戦、トルコ兵はここで12人が戦死している。橋を渡るときにその橋を爆破され、複数の兵士が人質に取られた。トルコ軍はPKK戦士を23人殺したと発表しているが、PKKの側は、損害はそれほど多くないし、捕虜にした兵士を人道的に扱っていると余裕さえ見せている。
日本の新聞はどこも、トルコ戦車隊がもうもうたる土煙をあげてイラク国境近くを移動する大きな写真を掲げ、「PKK壊滅図る」とその意図を報道している。
2月23日付朝日新聞は「米軍から情報提供などの協力を得て、昨年12月から断続的に小規模な越境作戦を行ってきたが、本格的な地上部隊の投入は初めて」と伝えている。 朝日新聞は「トルコ、3千人地上侵攻」と報道、他紙では1万人説も流され、数の違いはあるが、トルコ軍が米軍の情報で作戦を行ったとしている点では共通している。
米軍と情報を共有し、PKKの拠点を空爆し、今回は地上部隊でその一掃を狙ったのだが、予定より早く撤退した。「その目的は一定程度達成できたので撤退した」とトルコのエルドアン大統領は言う。
トルコ軍は、2月21日から29日までの9日間の作戦でトルコ兵士24人が死に、PKKは230人以上が死んだと発表した。拠点を根絶していないのでこれからも攻撃するとも言っている。実際には、雪深い土地での山岳戦、吹雪に見舞われヘリコプターが墜落するなど、土地の事情に精通したPKKゲリラに翻弄されたというのが真実だったと言えよう。殺された人の大半は地元住民だ。
「PKK壊滅」どころか、戦闘はいっそう拡大した。キルクークではクルド人民の抗議デモがまき起こった。クルド地域政府もトルコに抗議し、トルコへの石油送油管を閉鎖した。ペシュメルガ(クルド地域政府軍)とも衝突しかねない情勢になったのだ。
トルコは「PKK一掃」を掲げているだけでなく、すこしでも、クルドの独立につながる動きは絶対に認めない。キルクーク油田を擁するクルド自治政府などができたら、トルコ内にいるクルド人の独立運動はおさえきれなくなるからだ。今回もトルコ最大の都市イスタンブールでクルド人グループが「イラクのクルド人への戦争反対」を掲げて集会デモをやっている。トルコ東部クルド人居住地区にある都市ディヤルバクルでは2月26日1万人以上が参加する大規模な抗議集会を開き、国会議員や市長も参加している。
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by iraq2003jp
| 2008-02-27 20:00