テレビを見れば分かるようにカルザイという人物は見事な英語を話す。それもそのはず、アメリカの石油会社ユノカルのアフガニスタン支配人だった。CIAのエージェント(「毎日新聞」07年10月10日)とする説もある。その彼を、ブッシュ政権は操り人形として首相(その後大統領)に据えた。カルザイは首相に就任するやパキスタンとトルクメンの代表を呼び、トルクメン、カスピ海の石油と天然ガスをアフガン経由でパキスタン、インドにまで送るパイプライン計画を作った。
ユノカルはフランスの石油会社トタルと組んで、ミャンマー軍事政権と話をつけビルマ沖にあるヤダナ油・ガス田を取得、パイプラインを中国まで延ばす約束を取り付けている。軍事政権はこのパイプライン建設に、その通過点にあたる少数民族・カレン族を強制労働に駆りだしている。
カルザイ政権は、このような形でアメリカの石油利権の拡大に起用されたが、しかしますますドロ沼化するイラク・アフガニスタンの戦争は、世界最大の石油帝国を飲みこもうとしている
中国はアフリカのスーダン、ナイジェリアなど内戦が起きている国でも石油開発をどんどん推し進め、ペトロチャイナはその大半を握り、原油を確保したが、精製施設建設が間に合わず、日本の精油所に委託して精製している。
原油1バレル100ドル時代は実需を超えた投機の結果であるが、アフガン・イラク敗戦の産物でもあり、サブプライム危機に始まる世界大金融恐慌の切迫と重なり、アメリカ帝国主義はかつてない危機に追い込まれている。
昨年の5・1メーデーに空前の決起をしたアメリカの労働者は今いっそうの怒りをもって巨大な労働運動を爆発させようとしている。