8月12日付『朝日新聞』が、イラクのマリキ首相ががけっぷちに立たされていることを報じている。アメリカ帝国主義がそのカイライとして擁立したマリキ首相は、アメリカが嫌っているイランを訪問したり、ブッシュ政権が強く求める石油法案を仕上げるための国会を全党派の一致を取りつけながら可決せずに、9月初旬までの夏休みに突入してしまった。駐留米軍増派による成果報告を9月米議会で行うという宿題を持つブッシュ政権にもう余裕は無くなっている。米軍早期撤退を支持する世論が60パーセントを超える一方、大統領支持率は30パーセント前後に低迷。マリキ政権発足の1年の成果はイラクの石油をアメリカが奪えるかどうかで決定されるのであり、それが失敗したら今までの戦争は意味がないのである。ブッシュはこれができないなら、マリキを見限ると圧力を加えている。
マリキ首相を支えるシーア派の中からも反米強硬派のサドル師派の閣僚6人が「マリキ氏が米軍撤退日程を示さないのが不満」として離脱。8月1日、スンニ派有力政党「イラク合意戦線」の閣僚6人も辞任を表明。この1カ月で閣僚の辞任やボイコットが相次ぎ、閣僚37人中17人が不在という異常事態になっている。