9月14日付毎日新聞は、「親米部族長殺される-ブッシュ政権揺さぶりか」の見出しで、イスラム教スンニ派アブリーシャ部族長が9月13日、ラマディで路肩爆弾の爆発によって死亡したことを伝えている。
同部族長は9月3日、イラクを電撃訪問したブッシュ大統領とアル・アクサ空軍基地で会談した。あれだけ米軍に抵抗したスンニ派部族の代表が今では和解していると宣伝され、アンバル州の治安が改善された見本にされた。ブッシュ増派戦略の成功例としてブッシュ-アブリーシャ握手の映像が鳴り物入りで流されたのだ。しかし、そんなパフォーマンスではどうにもならないことが、この事件によってより鮮明となった。
「イラク情勢評価最終報告」で「地方の政治的和解は進展したが、国全体に広がるには時間がかかるだろう」とその目玉にされたのが、アンバル州だったのにこれで台無しにされてしまった。
ブッシュ電撃訪問にたいし、その当日の9月3日にもアル・アクサ基地にゲリラの迫撃弾は撃ち込まれていた。そして、裏切り者は許さないとしてただちに行われたアブリーシャ暗殺は、米軍増派によっては何も解決しないことをはっきりと突きつけたのだ。