安部首相と握手を交わすイラク・ハシミ副大統領
日本政府は、3月に、イラク・ハシミ副大統領、国会議員、外交官、4月にマリキ首相、石油・電力・地方公共事業各大臣、経済閣僚を招き、安倍首相をはじめ閣僚、与党、日本経団連首脳などが会談した。安倍首相はイラク復興支援で、上水道と電力設備復興の2件で577億円の円借款を新たに供与する方針を表明。これとは別に両国政府は肥料工場改修計画や原油輸出施設復旧計画など4件1028億円の円借款供与の正式調印を行った。
4月27日、安倍首相はブッシュ大統領と会談し、「強固な日米同盟」を表明したその足で、「中東5カ国歴訪」に向かった。4月29日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで海上自衛隊の派兵部隊を閲兵激励した。5月1日、クウェートの空軍基地で航空自衛隊を閲兵激励した。
経団連御手洗会長等財界トップ180人がこれに同行し、オイルマネー1兆ドル(120兆円)ともいわれる都市開発やプラント建設の大型プロジェクトに参入、ビジネスチャンスに群がった。安倍首相はアブドラ・サウジアラビア国王と会談し、沖縄の平安座にある石油タンク群を無料で提供することを申し出て、石油在庫保管に利用されたいと誘った。
アメリカにもっとも協力的で深々とイラク侵略に加わってきたイギリスさえ撤退せざるを得なくなってきたイラク情勢の中で、安倍首相は、7月に期限の切れるイラク特措法の2年延長を衆議院で5月15日通過させた。アメリカ以外の軍隊派遣国が退いたときこそ好機と、いっそうの中東侵略に乗り出したのだ。
改憲を公然と掲げ、戦争国家に向かう安倍政権に対して、私たちは今、小さくてもたしかな反戦の声をあげてやがて巨大な力としてその道を阻まねばならない。