2006年10月パレスチナを訪れて…
今回の撮影は、パレスチナ現地で起きている、分断壁を巡っての対立が中心となっている。イスラエルが軍隊を使って占領している様子を伝えたかった。占領地には、らせん状の柵がめぐらされ、鋭利な刃が住民に圧力をかけている。そんな中、世界から集まった多くの抗議者が、現地の人々とともにデモに立ち上がった。私はいたたまれない思いで、占領の実態を見た。イスラエル人の少女もそんな一人だった。彼女は占領地に飛び込んだ。決死の彼女の訴えに、同国の徴兵された女性兵士たちはおもわずうつむいたのだった。
写真では表現できなかったが、今、中東ではアメリカの政策に怒りの声がおこっている。昨年起きた、イスラエル軍による、レバノン空爆も、その中の一つ。ただやられているばかりではない。長期にわたってイスラエル軍とたたかってきたパレスチナの人々も、不屈の抵抗を続けている。
中東で何がおきているのか。ハマスとヒズボラ民兵がイスラエル軍を破ったことについて、ふれたい。
過去4回にわたる中東戦争ですべて軍事的勝利をおさめてきたイスラエルが、今回決定的敗北をした。ガザからとレバノンからのロケット砲攻撃の連射をいずれも沈黙させ得なかった。ハイファなど北からの避難民で、テルアビブやエルサレムの人口が膨れあがり、戦争真っ最中に数万人参加の戦争反対デモが起きた。少年少女の徴兵拒否が陸続と続いた。
「ヒズボラの首都」とよばれたビントジュベイルを5千人のイスラエル兵が包囲攻撃した。しかし、600人のヒズボラ民兵に逆襲され、30台の戦車と装甲車を置きっぱなしにして命からがら脱水症状に苦しみながら逃げ帰った。